年度途中で別居して賃貸住宅に引越。償却中の事務所兼自宅の未償却残高はどうしたら良いですか?
年度途中で別居して私だけ賃貸住宅に引越しました。3人の共有名義の一軒家を事務所兼自宅を償却資産として登録していましたので、その処理方法を税務署に聞きましたら、「使用していた期間の分だけ減価償却表に上げなさい。」とのことでした。
その場合、建物の未償却残高はどう処理したら良いでしょうか?
税理士の回答

(回答内容)
1 事業用事務所兼自宅の「未償却残高」の処理について
①事業使用期間(月数)は、減価償却により「未償却残高」を算出する。(記帳義務あり)
②事業に使用していない期間(6か月未満切捨て)は、「非業務用建物」として「減価償却費相当額」を算出する。(記帳義務なし)
※簿外資産となるため、決算時に未償却残高で建物勘定から事業主貸勘定に振り替えるのがよろしいかと考えます。
(直接法仕訳)
事業主貸4,500,000/建物4,500,000・・・上記1①の未償却残高
2 上記1の計算した「未償却残高」が将来の「譲渡所得」の計算上、「取得費」を構成することとなります。
(回答理由)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm
大越様 ご回答ありがとうございました。返信が遅くなって申し訳ありません。
未だ分からないことがあります。以下の点についてお教え頂ければ幸いです。
①の(記帳義務あり)とは申告書の減価償却表の最後のパートにある「未償却残高」の欄に記入するのでしょうか?そうすると決算時に「事業主貸」で処理した建物の記帳との関係はどうなるのでしょうか?
宜しくご指導のほどお願い致します。

(回答内容)
1 記帳義務ありとは?
決算時において以下の仕訳が発生します。
減価償却費150,000/建物150,000・・・事業供用月数分の償却費
事業主貸4,500,000/建物4,500,000・・・事業供用をやめた時点の「未償却残高」(これによって、「建物勘定残高」が「0」となります)
2 「収支内訳書」「青色申告決算書」の記載は?
(1)減価償却費の計算(収支内訳書P2または決算書P3)
①本年分の必要経費算入額・・・上記1の「減価償却費」150,000円と一致
②未償却残高・・・上記1の事業供用をやめた時点の「未償却残高」4,500,000円と一致
③摘要・・・事業供用をやめた旨(月日、事実)を記載(●/●、事務所移転)
(2)貸借対照表(決算書P4)
①「建物」・・・1/1 4,650,000、12/31 0(上記1「建物勘定残高」)
②「事業主貸」・・・12/31 4,500,000
※ご指摘のとおり、決算書等の「減価償却費の計算」に記載する「未償却残高」と貸借対照表の「建物」の年末残高は異なることとなりますが、摘要欄に「事業供用をやめた旨」を記載することで、税務署の理解も得られると考えます。また、会計ソフトをご利用の場合は、各ベンダーに入力方法を確認してください。
(回答理由)
1 収支内訳書(一般用)の書き方・・・P5未償却残高、摘要(2)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2022/pdf/034.pdf
2 青色申告決算書(一般用)の書き方・・・P4未償却残高、摘要(3)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2022/pdf/037.pdf
大越様
早速のご回答ありがとうございます。
とても丁寧に分かり易く教えてくださって、感謝致します。
本投稿は、2023年11月09日 18時11分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。