自社の数字をスピーディーに知ることが 将来のリスクを避けることになります
「クライアント目線でとことん寄り添う税理士」をモットーに、月に一度の無料相談会を開催するなど、法人個人かかわらず幅広く活躍されている戸田朗夫税理士。税務会計だけにとどまらず、広い視野でのお客様サポートを常に考えているという戸田先生にお話を伺いました。
戸田 朗夫 税理士
税理士戸田朗夫事務所
更新
節税ありきでなく、
お客様の利益が最大限になるサポートは何かを考える
ー 税理士戸田朗夫事務所はどんな会計事務所でしょうか
戸田朗夫 税理士
お客様が抱えている悩みごとを解決する問題解決型の事務所ですね。
ー 具体的には?
戸田朗夫 税理士
私は、単に申告書を作成して、業務が終わるとは考えていません。事業年度の期中でも問題点があれば、その都度その都度解決していくんだというスタンスを採っています。
そのためには、ご要望にもよりますが、会社の営業会議や役員会議への参加をお許しいただき、月次の数字を使って、会社内で数字を共有し、問題点を発見及び解決までを導いていくことを大切にしています。
ー お客様からはどういう相談が多いですか?
戸田朗夫 税理士
法人のお客様なら「なぜ、会社の業務が改善されないか」と言った質問が多いですね。そしたお客様にはまず、自計化をおすすめしています。
ー なぜでしょうか?
戸田朗夫 税理士
最近では、卸売業のお客様からご相談を受けました。売上の規模が10億円くらいなんですが、タイムリーに数字が上がってこないという問題点があって、私に相談にいらっしゃいました。
私の前に顧問税理士だった先生は、ほぼ記帳代行の業務だけをされていたんですが、記帳をしてから、まとまった数字が上がるまでに時間がかかるんですね。1か月とか1か月半くらいかかっていたそうです。そうなると、会社としてはまるまる1か月間、数字がわからない。
やはり、数字が早く上がってこないと、現状把握も何もできません。そうなると当然、業務改善もできません。数字から見えてくる問題点ですとか、昔からある根深い問題のようなものも見えてきます。
顧問になったときに、自社で記帳してもらうようにしました。経理担当の方に、売上や仕入と経費の計上に関しての仕訳のパターン覚えてもらって、担当の方も一生懸命勉強されて、軌道にのるまで3か月ですみましたね。
今では、翌月の10日、遅くても2週間以内には前月の試算表が上がり、営業会議や役員会ができるようになりました。数字を翌月前半までに自社で把握することにより、意思決定が早くなり、将来のリスクを回避することができます。
このような観点から、やはり中小零細企業といえども、会社で自計化していただいて、それを税理士がチェックしていくというスタンスに会社を持っていきたいというところですね。
ー 今のお客様はどんな業種の方が多いですか?
戸田朗夫 税理士
小売、卸売業と不動産管理業ですね。ほかには公益財団法人のお客様がいらっしゃいます。
法人のお客様に関しては、今後も業種にこだわらず広くお受けしていくつもりです。ただ、独立前から経験を積んできた公益法人のお客様への対応(税務)は得意分野ですので、今後増やしていきたいですね。
個人のお客様については、事務所の立地が中野ということもあるかもしれませんが、相続、生前贈与、土地の譲渡の案件が多いですね。相続はしたものの空き家など不要な不動産を売却したいなどのご相談などが多いです。
相続に関しては、今年の8月から始めたばかりなんですけれど、地元の中野サンプラザで、無料相談会をはじめました。
ー 先生が主催されているのですか?
戸田朗夫 税理士
そうです。会議室の費用とか広告とか、全部自己負担ですけれど、無料の相談会をやらせていただいております。
ー 相談会ではどんな相談が多いですか?
戸田朗夫 税理士
8割から9割までは、相続のご相談ですね。あとは不動産の譲渡関係。相続は亡くなられた後のご相談と、生前の相続対策です。
ただ、亡くなった後の節税対策というのは、非常に限られてきてしまいます。節税対策で言えば、生前に対策することがまず大前提ですね。
ー どんなアドバイスをされますか?
戸田朗夫 税理士
生前ならば、たくさん選択肢があります。ただ、私が気をつけているのは、自分の子供や孫に財産を譲りたいというおじいさんおばあさんがいらっしゃるんですが、自分の生活レベルは守ってくださいねということです。
年金が入ってくるから大丈夫とおっしゃるんですが、ご相談のときは元気でも、いつ要介護度3とか4とかそれ以上になるかもしれませんし、東京の老人ホームはすべての方が入れるかもわかりません。
お子様やお孫さんたちに財産を譲りたいという気持ちは尊いものなのですが、自分の生活レベルを下げてしまうと、特にご年配の方はどうしても心が萎縮してしまいます。
これは重要なことです。節税ありきで考えない。亡くなる方が生活水準を下げてまで、生前対策を行ってはいけません。人間の尊厳を大切にしたい。生きる以上はやっぱり楽しく生きたいじゃないですか。そこは大事にしたいと思っているんですよね。相続人の心情まで考えて、生前の対策を行ってほしいことを伝えます。
決算、申告で終わりの税理士にはなりたくない
常にお客様のブレーンであり続けられる税理士でいたい
ー 戸田先生が税理士になったきっかけを教えてください
戸田朗夫 税理士
大学卒業後、銀座のあるデパートに勤めていました。ある日の閉店後、会社の業績についての説明があったのですが、理解できませんでした。全然ピンとこなかった。大学の商学部を卒業したにもかかわらず、大変情けない思いをしたことがありました。数字を読めないのは虚しいな、と。これがきっかけの一つだったと思います。
ー お父様も税理士だったんですね
戸田朗夫 税理士
はい。当時は父も現役でバリバリにやっていました。税理士になることを相談したところ「今なら間に合うぞ、すぐ簿記学校にいけ」と後押しされました。24か5のときでしたね。
もともと目指さなかったのは、難しいから私に向いていないだろうなと思っていたんですよね。親戚で税理士を目指して合格した人がいるんですが、高校生のときにその様子をみていて、これ私には無理だと思って。それで自分には関係ないことだなと思って、大学を普通に卒業して、サラリーマンをやっていました。
税理士を目指すと決めてからは、父の事務所で働きながら、勉強をしていました。
ー 戸田先生が職業会計人として大切にしていることを教えてください
戸田朗夫 税理士
お客様が抱えている問題が何かを考え、その問題を解決すること念頭に、お客様の利益を最大限にすることを大切にしています。
そのためには、お客様の気持ちや立場を理解し、伴走する形が望ましいと考えています。
ー 今後の展望を教えてください
戸田朗夫 税理士
AIの登場で、単純作業的な仕事はなくなっていくと思います。実際、ニュースでも税理士の職域が狭まるだろうと報道されています。
ただし、実際に機械的、作業的な業務はなくなっていくでしょうが、意思決定や問題を解決するところは生身の人間なんじゃないかなと思います。
常にお客様のブレーンであり続けられる税理士でいたいですね。また、そうした税理士を輩出できるような事務所にしていきたいと思っています。
ー 最後に経営者の方々に一言お願いします
戸田朗夫 税理士
まずは自計化をする、数字を自社内で迅速に把握するということは、とても有意義なこととまず知っていただきたい。それによって打つ手が変わってくるし、スピード感を持って動くことができるということ、そこをわかってほしいですね。
自社内で数字を共有することは大変重要であり、社内で抱えている問題点の発見、解決検証に必ず役に立つはずです。
営業会議、または役員会に税理士が参加することは、社内の常識にとらわれない目でもって、数字を見るため、大きな気付きをもたらすことができるかと思います。ぜひご検討ください。