業種特化した専門サービスが、中小企業の100年経営を支援する
ワンストップであらゆる専門家のサービスを提供するトリプルグッドグループ。顧問先件数は1,400社を越え、「働きがいのある会社ランキング」5年連続ランクイン、「会計事務所甲子園」優勝と、今最も注目されているトリプルグッドグループ代表の実島誠税理士にお話を伺いました。
実島 誠 税理士
トリプルグッド税理士法人
更新
税理士の使命は企業の継続をサポートすること
ー トリプルグッドグループの強みを教えてください。
実島 誠 税理士
業種に特化した専門チームがあることです。「飲食業」「美容業」「介護業」「建設業」「不動産業」などですね。最近は業種ではないのですが「一般社団法人」向けのチームもはじめました。担当者1人だけではなく、チームとしてお客様のサポートをさせていただいています。
また、税理士だけでなく、社会保険労務士、司法書士、行政書士、弁護士、中小企業診断士といった専門家と連携しているので、あらゆる案件に対して、ワンストップでのサービスを提供することができます。
ー グループのミッションである「中小企業の100年経営で、日本を元気に!」にはどのような思いが込められているのでしょうか?
実島 誠 税理士
もう十数年前ですか。税理士の使命とは何かということを考えました。税理士法の第1条では税理士の使命を「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」と定めています。要は、申告納税制度の中で、納税者が自分で記帳をしたり、税務申告をしたりするのは難しいので、それをサポートしましょうという資格が税理士なんですね。
でも今の時代、会計ソフトに数字を入力すれば、申告書はできてしまいます。さらに言えば、世の中の企業の約8割は赤字という現状の中で、税理士の使命、ミッションが記帳と申告だけでいいのかと思いました。
税理士として、何ができるのか。企業にとって一番大切なことは何か。そう考えたときに、大切なのは、継続することであるということに思いが至りました。
継続することによって、経営者、経営者のご家族、その企業に勤める従業員さんとそのご家族の生活が成り立ちます。それだけでなく、もし潰れてしまったら、その企業が提供する商品やサービスもお客様に届けることができなくなってしまいます。
だから、私たち会計事務所が、何を目的に企業をサポートしていくべきかということを考えたときに、中小企業が潰れずにずっと続くことを使命にしようと思ったんです。
帳面をつけて税務申告のサポートをするだけという仕事から、中小企業が潰れないで経営を続けていけるようなサポートを提供する。実際、帳面につけた数字を使って、会社が潰れないように経営の助言をするとなると意識が変わりますね。
「100年経営」というのは潰れないで、100年続きますという意味です。そういう中小企業が増えていけば、日本はきっともっと良くなるでしょう。そうした思いを込めて、「中小企業の100年経営で、日本を元気に!」というミッションを考えました。
ー どのようなサポートをされているのですか?
実島 誠 税理士
どんぶり勘定では、儲かっているか儲かっていないかはわかりませんから、月次決算を毎月確実におこなって、その数字をもとに、経営についてのアドバイスを行います。
ただ、月次決算を正しく行うためには、お客様の協力が不可欠です。会計事務所側でプロセスが完結するのだったらいいのですがそうもいきません。お客様側で会計ソフトへの入力をするにしろ、こちら側で入力するための資料を揃えてもらうにしろ、遅れがちになることが課題でした。経理や事務の専任者がいない会社は経営者の方が自分で記帳しなければいけないので尚更です。
そこで、今はクラウド会計を導入してその課題を解決しました。現在はお客様の約7割にクラウド会計を使ってもらっています。
ー クラウド会計のメリットはどんなところにあるのでしょうか?
実島 誠 税理士
一つは、すごく楽なこと。何もしなくていいですよね。銀行口座との連携で、預金の取引、入金・出金、日付とかの情報を取り込んできて、自動的に仕訳をしてしまう。これで、経営者が自分で記帳しなければならないという手間が省けました。これがクラウド会計の一番のメリットですね。
もう一つのメリットは、リアルタイム性です。前日までの取引が翌日には取り込まれていて、帳簿ができるということですから、場合によっては日次決算もできてしまいます。
我々はこうした仕組みづくりのために、クラウド会計導入のサポートをしています。ネットバンキングの連携やクレジットカードや電子マネーの導入など、出来る限り自動化を進めています。その他のクラウド関連ツールもサポートしています。クラウド型のコミュニケーションツールであるチャットワークの導入もその一つです。
ー 月次の訪問はされないのですか?
実島 誠 税理士
いえ、訪問はしています。チャットワークはその間を埋めるツールですね。
たとえば、月次決算で月に1度お会いする場合、月に1回ですから、もし経営者の方が何か疑問を抱えていたり、相談しようと思っても、すぐに聞くことができません。1ヶ月に1回、そのときにまとめて話を聞くのでは、スピードが遅すぎます。なにか疑問を持ったら、それをその場で解決したい。解決しないと経営判断ができなかったり次へ進まないですよね。
それがチャットならば、相談を書きこんでいただければ、早ければ即日、遅くても2、3日以内には回答することができます。また、スマホでも使えますから、こちらが連絡したときのお客様からのレスポンスもとても良くなりましたし、コミュニケーションのミスがかなり減りましたね。
クレドが経営の方向を決める
— 事務所の成長の原動力となったクレドについて教えてください
実島 誠 税理士
クレドというのは、ラテン語で「信条」を意味します。トリプルグッドでは、メンバー全員に、クレドを共有しています。
導入のきっかけは、15年くらい前にリッツ・カールトンの元日本支社長の高野登さんの講演を聞いたことですね。ちょうど、人の問題に悩んでいたときだったので、すぐに取り入れようと決めました。
クレドとは企業の価値観や自分の思いを言葉にして示すんですね。はじめは反発もありましたし、辞めた社員もいました。でも3年くらい経ったころですかね、定着したというか、みんなの考え方が変わってきたと実感しました。
— そうした取り組みが「働きがいのある会社ランキング」の5年連続ランクインにつながったんですね。
実島 誠 税理士
私は、会計事務所の資本は、そこで働く人だと思っています。人そのものが付加価値なんですね。その人が意欲的に働くのか、そうでないかによって、業績や成果は大きく変わっていきます。
たとえば飲食店だったら、人によるサービスの付加価値もありますが、立地であったり、出す料理であったり、内装だったりと付加価値や満足度の基準が色々とあります。
でも、我々の仕事というのは、人が提供するサービスが100%と言っても良いくらい高いんです。オフィスをきれいにすることや、便利なツールを提供することも大事ですが、実はそれほど重要視されてないんですよね。
だからこそ、従業員たちがやりがいや働きがいを持って、仕事をしないといけないと思うんです。お客様にありがとうと言っていただければ、働きがい、やりがいが出てきますよね。そのためにはお客様に喜ばれるようなサービスを提供しましょうということなんです。
機械のように早く正確に申告書を作成することだけが目的になってしまってはやりがいも何もないですよね。喜んでいただくという人としての心やカスタマーサポートの概念がなかったら、ダメなんです。手段と目的を入れ違わないように仕事をしなければ、お客様に喜んでもらうことはできないと考えています。
— 実島先生が、税理士として大切にしていることは何ですか?
実島 誠 税理士
独立した当時、お客様が会計事務所に持たれているイメージというのが、帳面をつけて申告書を作るというもので、相談するというものがなかったんですね。書類作成代行屋さんのような。そのときに私が思ったのは、財務をもっとしっかりと見て、それを企業の成長に役立てるようなアドバイスをできる税理士でないとダメだということです。それで「戦略財務」という言葉を当時の事務所名に入れ、アドバイザリーを中心とした事務所をつくろうとしました。
先程お話したミッションにもある通り、クライアントが継続することが一番大事なことだと思います。企業にとって一番重要なのは、潰れずに続くこと。それがお客様の満足にも、社員さんの満足にも、経営者の満足にもなると思いますから。
— トリプルグッド税理士法人が今後目指していくことを教えてください。
実島 誠 税理士
一番やりたいことは、クライアントの業績を上げるサポートができる会計事務所になることですね。とはいえ、我々がマーケティングや人材のコンサルティングをすることはちょっと違うと思うんですね。会計事務所だからできることとして、数字をベースにお客様に現在の経営状況を理解していただくということが一番大事だと思うんです。
また、トリプルグッド税理士法人はプラットフォームだと思っています。ワンストップでいろいろなことを解決できるような。
例えば飲食業であれば、食べログやぐるなびやRettyなどを活用して売上を上げることができるようなコンサルタントや、その他にもクラウド関係の業者さんもいらっしゃいますが、そういった外部の方とおつなぎしてハブになるということですね。経営を良くするプラットフォームに会計事務所がならないとダメだと思っています。
これから先、労働人口の減少やクラウド会計の普及で会計事務所の仕事も大きく変わっていくことと思います。でも変わることは仕方がない。この変化をチャンスとして、グループを伸ばしていきたいと思っています。
今まで記帳や申告の代行がメインだった会計事務所も、今後さらに自動化が進んでいけば、代行業務が全部なくなるかもしれません。そうしたとき、経営の助言などもっとクリエィティブな付加価値のある仕事にも挑戦していきたい。そのほうが楽しくて面白いじゃないですか。