会社の経理担当をまるごとアウトソーシングできるサービスを提供
尼崎市にあるK&P税理士法人は45年以上の実績を持つ税理士・公認会計士事務所です。税理士・公認会計士のほか、社会保険労務士、行政書士なども在籍し、クラウド会計や起業支援・経営計画作成支援など幅広くサポートしています。代表の香川晋平税理士にお話を聞きました。
香川 晋平 税理士
K&P税理士法人
更新
経理業務をまるごと引き受けられるサービスで経理コスト削減を提案
ー K&P税理士法人の強みはどんなところですか?
香川晋平 税理士
当社は尼崎と西宮の中小企業をメインに地域密着型で会計サポートを行っています。現在当社として力を入れているのが、クラウド会計のパッケージ商品です。これまでは顧問業務がメインでしたが、人手不足が深刻な中、経理に明るい人を雇うことが難しいという声を多く聞くようになりました。
そこでそういったニーズにこたえようと4、5年前から経理のアウトソーシングを始めました。現在は「どこでも経理」という商品を展開して、経理のインフラを整えることに力を入れています。これを導入することによってバックオフィス業務のサポートや、経理のアウトソーシングを提案しています。
ー それを導入する企業には具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
香川晋平 税理士
クラウド上にデータを入力してもらうことで、社長さんと場所を選ばずに業務を共有することが可能になります。遠隔でのサポートもできますので、毎月の訪問を待たずにスピーディにご相談などに応じることも可能です。
ー 現在の顧問先でも導入を進めているのですか。
香川晋平 税理士
旧来からの顧客企業での導入は今のところ全体の1割くらいです。比較的大きい会社が多いので、経理の方との兼ね合いで、すぐに導入することが難しい面もあります。どちらかというとこれから立ち上げる会社や経理担当者が代替わりする会社などのほうが無理なくシステムの移行ができるので、そうした企業で導入をご検討していただいています。
もともと経理担当者がいた会社では、経理担当が変わるタイミングなどを契機に、クラウド化で効率化して、いろいろと試行錯誤しながらやり方を提案させてもらっています。タイムリーな情報を求める社長さんを中心に積極的に対応していただいています。
ー 具体的に導入されたお客様の反応はいかがですか?
香川晋平 税理士
専属の経理の方が定年で辞められた会社で導入いただいた事例があります。導入初期の頃は週1回の訪問でシステムの操作方法などをレクチャーしました。最初の3、4週間はそのようにマメにサポートをしながらシステムに慣れていただきました。とはいえ訪問回数が多いとその分出張費もかさみますので徐々に訪問回数を減らして3か月ほどかけて月に1回にしていきました。
あとは今まで先方にいって確認をしていた資料を会社のスタッフさんにスキャンして共有してもらうようにしました。これで事務所で必要なことを処理することができるので月1回の訪問の際に振込の確認だけ社長さんにしてもらって、そこで支払いをしてもらうというかたちをとるようになりました。
導入には数か月かかりましたが、このような形にすることで経理コストは、この会社の場合には従来の1/3になりました。お客さまからすると今までなかった「書類をスキャンする」という手間が増えましたが、日常の業務としてはそこまで大変ではなく、うまく回っているととても喜んでいただいています。
このように最初の3か月程度はこれまでとは異なるシステムの導入となるので、時間や手間もかかりそれなりに大変ですが、それ以降はスムーズになり、なによりもコスト削減が永続的に実現します。
クラウド会計は難しいと思われる方もいらっしゃいますが、当社ではどのように使っていただくかを自社で運用できるようになるまでしっかり教えてフォローするようにしています。その後自社でできることはやっていただき、アウトソーシングするところは我々の事務所に任せていただくという形でやっていくことでとても好評をいただいています。
経理担当者が退社してしまって後任をどうしようかと悩んでいる会社からの問い合わせもかなり増えてきています。
創業時の資金調達など起業支援にも力を入れている
ー クラウド会計以外にも力を入れているところはどんなところですか?
香川晋平 税理士
起業支援にも力を入れています。起業支援の専門サイトをつくって、尼崎で起業と検索をするとうちの事務所が上の方に出てくるようになっています。
ー 起業支援は具体的にどんなことを行っていますか?
香川晋平 税理士
起業したばかりの会社は、起業当初は自己資金を準備している方が多く、業種にもよりますがすぐに資金が必要になるケースはそれほど多くありません。お客様自身もなるべくならお金を借りずにやっていきたいと思っている人が結構多いんです。
でも、思うように売り上げが上がらなかったり、思った以上に経費がかかったりといったことでその後の資金繰りが厳しくなることが非常に多いんです。厳しい現実を知って慌てて広告を打とうと思ってもその費用が出せないなどで資金が底をつきかけた段階でご相談を受けることも少なくありません。
でも銀行は資金繰りが厳しくなってからではなかなかお金を貸してくれません。ですから、創業融資が重要で、資金的に余裕があったとしても創業時にきちんと計画を立てて利用できる融資を受けておくといったことをご提案しています。資金がまだあるうちは金利を払うのがもったいないからと渋る人が結構多いのですが、資金調達は余裕のある時に前もって準備をしておくことが重要です。
ー 事業の立ち上げ当初はなかなかそこまで意識が回らないケースも多いのではないですか?
香川晋平 税理士
そのため当社の起業支援では、資金調達の申請のやり方がわからない、融資の受け方がわからない人に対して事業計画の作成のサポートなどを行っています。
また、金融機関では、アピールの仕方が大切で事業主の経歴や自己資金をどれだけ貯えているか、計画性のある貯め方かどうかなどもチェックされます。そうしたことも慎重に検討して、どのようにアピールするのかをアドバイスしています。
創業融資はまだ事業がどうなるのかわからない状況で申し込むことになるので、申請時の準備が資金調達の成功の可否に大きく影響します。金融機関側が納得できるような計画を立てることがとても重要になるので、そうしたことも考慮しながらご提案しています。
ー ほかに起業支援業務関係で多い相談事はどんなことがありますか?
香川晋平 税理士
事業を興すのに個人でやるか法人でやるかといった相談は多いです。これに関してはシミュレーションをして、個人の所得がどれだけあるかというのをみながら、このタイミングなら法人成りしたほうがいいんじゃないかといった提案をしています。
個人事業主の方で、このまま個人で継続すべきなのか、法人成りしたほうがいいのかという相談もあります。この場合には個人の課税所得が600万円を超えてくると法人にしたほうがいいのではないかと提案しています。
あとは消費税の問題があります。売上が1,000万を超えた2年目から消費税が課税されますが、3年目から急に消費税が課税されて驚かれる人もいます。そこから急に資金繰りが悪化する会社もあります。個人事業主の場合は法人成りすることでもう2年猶予がもらえるので、そのタイミングで法人成りすることも検討するよう提案するなど様々なアドバイスを行っています。
また先ほど話したクラウド会計も起業を考えているところには特に積極的に最初から導入するようにおすすめしています。「どこでも経理」で経理の穴を埋められるようにしています。
これからは中小企業の経営計画作成サポートも力を入れたい
ー 公認会計士・税理士になったきっかけはどんなことでしたか?
香川晋平 税理士
父親がもともと公認会計士・税理士として中小企業相手の会計事務所をやっていたのがきっかけです。父からは特に自分の後を継いでほしいと言われたことはなかったのですが、母親からは小さいころから公認会計士を目指せと言われていました。この母の洗脳が大きかったみたいですね(笑)。
大学卒業半年後に公認会計士の2次試験に合格しました。監査法人に就職し7年間、上場企業の監査や上場準備業務を行っていました。その後リフォーム会社での勤務の後2005年に父の事務所に入所し、2014年に父親から事務所を引き継ぎました。事務所としては創業45年目、私の代になってからは今年で6年目です。
ー 今の事務所をお父様から引き継ぐ前に、一般の企業でのお仕事のご経験もあるのですね。それは何かお考えがあってのことですか?
香川晋平 税理士
監査法人で働いたあと、父の会計事務所に入るつもりでしたが、会計だけでなく経営面ももっと勉強したいと思って自費でビジネススクールに通ったんです。そうして学んだことを実際の企業で生かしたいと思ったのと、第三者的な立場からの指導だけでなく、会計の実務にも携わって、一般企業の実情をもっと理解したいという思いもあって30歳の時にリフォーム会社に就職しました。
そこの会社ではちょうどそのとき上場の準備を行っていて、若い会計士を管理本部長にしたいという意向があり、管理部門のトップとして上場にかかわる仕事に携わりました。当時の経営判断で残念ながら上場は断念することとなり、そのタイミングで私は退職し父の事務所を継ぐことにしました。
一般企業に勤めた経験によって、社長の思いや思考を外からではなく会社の内側から知ることができたことは、非常に大きいですね。そうした経験を生かして、経営者が税理士・会計士に求めていることは何かということを考えながら現在の業務に生かしています。
ー 香川先生の事務所で大切にしていることはどんなことでしょう?
香川晋平 税理士
当社ではK&Pカルチャーというものを掲げています。「お客様のお困りごとを解決することで、お客様、自分自身、ともに働く仲間の「夢と幸せ」の実現に貢献し、社会にも貢献しよう!」というミッション、「税務会計を入口に、中小企業経営者の Key Partner へ!」というスローガン、そして7つの行動指針を大事に日々の業務に取り組んでいます。
ー 今後の展望についてお聞かせください
香川晋平 税理士
クラウド会計業務を柱の一つとしていくとともに中小企業の経営計画作成をサポートする業務にこれから力を入れていきたいと思い、スタッフも拡充しています。将来的には50人ぐらいの事務所規模を目指しています。