相続税申告に必要な書類の一覧〜種類や取得方法まとめ

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相続税申告に必要な書類の一覧〜種類や取得方法まとめ

監修: 古尾谷 裕昭 税理士

相続税の申告には、「相続税申告書」以外にも必要な書類が数多くあります。相続税申告期限を過ぎるとペナルティが発生してしまうため、どの書類が必要になるかなどあらかじめまとめておき、準備は早めに行うようにしましょう。

目次

相続税申告が必要な人って?

相続税申告は、相続が発生したすべての人が行うわけではありません。

相続税の基礎控除額を超えたときや、「配偶者の税額軽減」など税負担を軽くするための特例を適用するときに必要になります。

相続税の基礎控除額=3000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

相続税申告が必要な人は、原則として、被相続人が死亡したことを知った日(相続開始日)の翌日から10か月以内に相続税の申告・納税をしなくてはなりません。

期限を過ぎると本来納めるべき税額にプラスして加算税や延滞税などが発生してしまう(追徴課税ので、間に合うように手続きしましょう。

相続税申告に必要な書類一覧と集め方

相続税の申告にはまず、「相続税申告書」が必要になります。

相続税申告書は第1表〜15表までありますが、そのすべてを作成するのではなく、状況に応じて必要なものだけを作成します。

※相続税申告書の書き方については以下の記事で解説しています

全員必要になる書類

相続税申告書以外で必ず必要になるのが、下記いずれかの書類です。

  1. 被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本
    ※相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの
    ※被相続人の本籍地がある市区町村の役所で取得
  2. 法定相続情報一覧図の写し
    ※子の続柄が実子か養子か分かるように記載されたもの。被相続人に養子がいる場合には、その養子の戸籍の謄本又は抄本
  3. (1)または(2)のコピー

※法定相続情報一覧図の写しとは

平成29年(2017年)5月29日以降、「法定相続情報証明制度」を利用することで、戸籍を簡素化した「法定相続情報一覧図」の写し無料で発行することができるようになりました。

平成30年(2018年)4月1日以降、「法定相続情報一覧図」の写しは、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本に代わる書類として利用できるようになりました。

相続登記や預金口座の名義変更など相続手続きにかかる負担を軽減できるメリットがあります。

税務署窓口または郵送で相続税申告の手続きをする場合は、上記に加えて本人確認書類として次のようなものも必要になります。

  • 身元確認書類の写し
    マイナンバーカード表面、運転免許証やパスポートなど、相続人の身分を証明するもの
  • 番号確認書類の写し
    マイナンバーカード裏面、マイナンバーの記載がある住民票の写しなど、相続人の身分を証明するもの

上記の書類以外は、相続人や相続財産、適用する特例などによって異なります。

相続財産に関する書類

相続税を申告するには、遺産総額を把握しなければなりません。そのため、現金・預金の残高がわかるものをはじめ、不動産や有価証券に関する書類など、財産の種類に応じて各書類を集めましょう。

現金・預金に関するもの

書類の種類取得場所
預金残高証明書各金融機関
既経過利息計算書(定期性預金の場合)
定期預金の証書手元にあるもの
被相続人の過去の通帳(約5年分)
家族全員の過去の通帳(約5年分)
手元現金(メモでも可)
被相続人の確定申告関連書類または準確定申告関連書類
※所得税など還付される税金がある場合
書類の控えや手元にあるもの

土地・建物(不動産)に関するもの

土地や建物など不動産を相続する場合は、財産評価の調査のために次のような書類等が必要になります。

書類の種類取得場所備考
登記簿謄本(全部事項証明書)法務局の各出張所相続財産に建物、土地がある場合に必要
地積測量図及び公図の写し法務局の各出張所
固定資産税評価証明書市町村の役所
(東京23区は23区内の都税事務局)
土地および土地の上に存する権利の評価明細書国税庁のホームページから入手し相続人が作成
名寄帳(固定資産課税台帳)不動産のある市区町村の役所
(東京23区の場合は不動産のある区の都税事務局)
住宅地図、実測図インターネットサイト等
賃貸借契約書手元にあるもの相続財産に貸家、貸地、借地がある場合に必要
売買契約書、間取り図等相続財産に建物、土地がある場合に必要
路線価図・評価倍率国税庁のホームページ
農業委員会の証明書各地の農業委員会他人の農地を小作している場合に必要

有価証券・保険などに関するもの

土地や建物だけでなく、株式など有価証券や生命保険の相続をする場合があります。これらについても次のような書類等が必要になります。

【株式・投資信託】
相続財産書類の種類取得場所
上場株式株券手元にあるもの
配当金の支払通知書
証券・株券・通帳または預り証証券会社や信託銀行
被相続人の最近5年間の取引明細(必要に応じて家族の分も)
評価明細書自身で作成
非上場株式直近3期分の決算書(科目内訳等の添付書類含む)該当の法人
最近5年間の株主等名簿
税務申告書(法人税・地方税・消費税等)
評価明細書自身で作成
投資信託残高証明書証券会社や信託銀行
投資信託についての信託財産留保額及び個別元本額
評価明細書自身で作成
【生命保険やそのほかの財産】
相続財産書類の種類取得場所
生命保険金等保険金支払い通知書各生命保険会社等
生命保険証書または契約内容のわかる資料手元にあるもの
満期返戻金のある火災保険等の保険証書、解約返戻金のわかる資料
入院給付金等の支払通知書
解約返戻金のわかる資料(保険金の支払いがなかった保険の場合等)保険代理店契約の生命保険会社
ゴルフ会員権預託金証書または株券手元にあるもの
退職金支払通知書勤務先
貸付金金銭消費賃貸契約書および残高のわかるもの手元にあるもの
書画骨董等品名、作者名、写真等書き出す
自動車自動車の車検証手元にあるもの
自動車保険の保険証または契約内容のわかるもの
自動車保険の解約返戻金がわかるもの保険代理店
その他未収金手元にあるもの

葬式費用・債務に関する書類

葬式にかかった費用や、借金などの債務は相続財産から控除されるため、必要に応じて以下の書類を用意しましょう。

書類の種類取得場所
借入残高証明書各金融機関
金銭消費貸借契約書(その他の借入がある場合)手元にあるもの、貸金庫等
納税通知書や納付書 (未払いの税金がある場合)手元にあるもの
相続権利放棄申述の証明書
各種請求書、領収書(入院費や公共料金等)
葬式費用の請求書と領収書(お布施等含む)
被相続人の確定申告関連書類または準確定申告関連書類
※徴収されることになった所得税などの税金がある場合
書類の控えや手元にあるもの

特例適用などに関する書類

過去3年以内に贈与を受けている(※)、相続時精算課税適用者がいるなど、特殊なケースにおいては、次のような書類等が必要になります。

※2024年1月以降、相続財産に加算する生前贈与の期間を3年から7年に段階的に延長。

書類の種類取得場所
相続時精算課税選択届出書の控え
※相続時精算課税適用者がいる場合
手元にあるもの
非課税申告書の控え
※住宅取得資金、教育資金、結婚子育て資金の贈与の特例を受けていた場合
障害者手帳
※相続人に障害者がいる場合
過去の相続税申告書の控え
相続人の戸籍の附票、被相続人の戸籍の附票
※家なき子特例・相続時精算課税の適用者がいる場合、不動産の手続きに必要(家なき子特例については、マイナンバーを税務署に提出する場合は不要)
各相続人または被相続人の本籍地の役所
申告後3年以内の分割見込書
※申告期限までに遺産分割ができない場合
税務署または国税庁ホームページ

相続財産の分割等に関連する書類

相続税は、相続財産の金額および相続人の人数や関係性、遺産分割の割合で税額が決定します。そのため、下記のような書類も必要となります。

書類の種類取得場所備考
相続人全員の戸籍謄本市区町村の役所被相続人の死亡時点での戸籍に入っている場合は不要
遺言書公証役場など 
遺産分割協議書の写し相続人で話し合い、作成法定相続分や遺言書とは違う内容で財産を分配した場合に必要
相続人全員の印鑑証明書市区町村の役場遺産分割協議書に押印したもの(委任状があっても代理取得は不可)。
特別代理人の選任の審判に関する書類家庭裁判所相続人が未成年である場合に必要
相続放棄の申述受理の証明書家庭裁判所相続放棄をした相続人がいる場合に必要
贈与税申告書の控え、贈与契約書手元にあるもの過去3年以内に贈与を受けていた場合(※)や 死因贈与での相続の場合に必要(※2024年1月以降、相続財産に加算する生前贈与の期間を過去3年から7年に段階的に延長)

このほか、下記のようなものもあると申告書の作成がスムーズになります。

  • 相続関係説明図:相続人が誰であるかを、わかりやすく表した図
  • 財産目録(相続財産明細):相続する財産の種類や金額を記載した明細

おわりに

ひと口に相続といっても様々なケースがあるため、必要な書類も場合によって異なります。また、不動産や株など財産の種類が多ければ多いほど書類の用意だけではなく相続税申告そのものも複雑になるため対応が難しくなります。

そのような場合には税理士に相談するのもひとつの手です。税理士であれば相続税申告を迅速かつ正確に行えるだけでなく、節税対策や二次相続対策もあわせて依頼することができます。

申告および納税期限は相続開始日の翌日から10か月以内なので、早目に準備できるよう計画的に進めましょう。

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