【東京で起業する方必見】東京都の女性・若者・シニア創業サポート事業とは

起業する際によく使われる融資制度といえば、日本政策金融公庫の取り扱う融資制度や、都道府県や市区町村などの制度融資が代表的な制度でした。ところが、はじめて創業する人にとっての悩みは、資金調達のほかにも、経営に関することなどたくさんあるものです。
そんな人にとっておすすめなのが、融資と経営サポートが同時に受けられる、東京都の「女性・若者・シニア創業サポート事業」です。
融資を行なうのは、都内の信用組合・信用金庫のうち取り扱いがある金融機関で、金融機関から地域創業アドバイザーを紹介してもらい、経営に関するさまざまなアドバイスを受けることができます。
そこでこの記事では、「女性・若者・シニア創業サポート事業」のサービス内容やメリット、手続きの方法などを解説します。
目次
女性・若者・シニア創業サポートとは
女性・若者・シニア創業サポート事業とは、地域に根ざした創業を支援するため、2014年5月に東京都が始めた融資制度です。都内の信用組合・信用金庫と、創業支援を行っている地域創業アドバイザーが、これから創業する人や創業まもない事業者に対して、連携した支援を行うことになっています。
そのため、創業者にとっては低利率・無担保の融資と、地域創業アドバイザーによる経営サポートの、両方の支援を受けることができる点が、他の制度融資にはない大きな特徴になっています。

融資・支援の対象者
「女性・若者・シニア創業サポート」を利用するための条件は以下になります。
- 女性、若者(39歳以下)、シニア(55歳以上)で、創業の計画がある者又は創業後5年未満の者
- 個人事業主、株式会社、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人などであること
- 東京都内に本店または主たる事業所を置く創業事業であること
- 地域の需要や雇用を支える事業であること
注目すべき点として、これまで自治体の制度融資などではなかなか対象とはならなかったNPO法人や一般社団法人、財団法人も対象になっています。
ただし、税金の未申告や滞納があったり、公序良俗に問題のある事業の場合は、利用することはできません。
また、利用にあたっては、融資を受ける創業者の事業が、地域の需要や雇用を支える事業であることが求められます。具体例としては、働くお母さんを助ける家事代行サービスや、地域のお年寄りの見守る介護サービス、地元商店街での飲食店開業などが挙げられます。
金利・担保など融資条件
金利の上限は1%と決められていて、他の金融機関と比較してもかなりの低金利で融資を受けることが可能となっています。また、担保が不要のため、創業者の立場からすると手軽で使いやすい融資制度となっています。
さらに、返済期間のうち3年以内は元本の返済を見合わせることができる据置期間があります。その間の返済金額が抑えられるため、創業まもなく売り上げが安定しない時期でも、経済的なゆとりが生まれます。
融資限度額1500万円以内(運転資金のみは750万円以内)
融資限度額 | 1500万円以内(運転資金のみは750万円以内) |
---|---|
利率(年) | 固定金利1%以内 |
返済期間 | 10年以内(うち据置期間3年以内) |
担保 | 無担保 |
保証人 | 法人/代表者個人または不要 個人事業主/不要 |
※取扱金融機関によって金額、利率、返済期間等の詳細な設定は異なります(上記の範囲以内)。 また、本事業と併せて取扱金融機関独自の融資を利用する場合、表面記載の融資条件と異なる可能性があります。
無料で利用できる経営サポート
融資前には、地域創業アドバイザーによる、創業支援セミナーや事業計画作成セミナーなど、さまざまな無料セミナーを受けることができます。また、創業に関する個別相談(原則3回まで)も無料で行なっています。さらに、金融機関の融資審査を見据えた事業計画書のアドバイスも受けることができるなど、さまざまなサポートがあります。
また融資後も、経営サポートを最大5年間無料で利用することができます。具体的には「経営アドバイス」と「決算書作成アドバイス」があり、事業の継続発展のための経営アドバイスは年3回、税理士による帳簿、記帳、決算書作成に関するアドバイスを計2回受けることができます。
地域創業アドバイザーとは
地域創業アドバイザーとは、都内で地域密着型の創業支援を行っている専門家で、東京都から事業に関する相談について請け負っており、多くの団体から選択することができます。
また、団体の中には女性の起業に特化した団体、NPOや社会福祉法人といった団体の支援を行っている団体、飲食店経営に詳しい団体などがあり、創業者のニーズに合致した団体の支援を受けることができます。
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他の制度との比較したメリット・特徴

ほかにも創業者が利用を検討する融資制度は、日本政策金融公庫や自治体の制度融資があります。「助成・若者・シニア創業サポート」はこれらの融資制度と比較した際に、どのようなメリットがあるのでしょうか。
信用保証協会の保証料が不要
通常、制度融資や民間金融機関からの融資をうける場合、信用保証協会を利用するため保証料(年率2%程度)が発生します。しかし、東京都の「女性・若者・シニア創業サポート」事業は、信用保証協会を利用する必要がないため保証料がゼロになります。
創業助成事業も併用できる
「女性・若者・シニア創業サポート事業」を利用することによって、助成金制度である「創業助成事業」の申請要件を満たすことができます。
「創業助成事業」とは、公益財団法人東京都中小企業振興公社が行っている事業です。都内での創業を計画、または創業して間もない人を対象に、事業を行う上でかかる経費について助成を行います。以下が事業の概要になります。
助成対象者 | 都内での創業を具体的に計画している個人または創業後5年未満の中小企業者のうち、一定の要件(※)を満たす人 ※一定の創業支援事業の利用が必要。詳しくはHP参照 |
---|---|
助成対象期間 | 交付決定日から1年以上最長2年 |
助成限度額 | 300万円(下限100万円) |
助成率 | 3分の2以内 |
助成金の使途 | 人件費・賃借料・広告費・備品費など |
助成金の場合、融資とは異なり返済義務が発生しないことがメリットです。もちろん助成金は申請したら必ずもらえる訳ではありません。ですが、「女性・若者・シニア創業サポート事業」で融資を受けられると、「創業助成事業」にも申請ができるようになります。助成金により、返済不要の資金を調達できた場合、創業期の厳しい資金繰りに関しては大きなサポートになるでしょう。
低い金利
女性・若者・シニア創業サポート事業の融資金利は、固定金利1%以内となっています。日本政策金融公庫の新創業融資の金利が2.26%〜2.85%(基準利率、2018年10月11日現在)であることを考えると、低い金利はやはり魅力的です。
融資の手続きの方法
女性・若者・シニア創業サポート事業の手続きの方法は以下のとおりになります。融資が実行されたあとは、経営サポートも引き続き受けることができます。
取扱金融機関に相談
「女性・若者・シニア創業サポート事業」を取り扱う信用組合・信用金庫へ連絡して、指定の事業計画書を入手します。取扱金融機関から書式の指定がない場合には、ホームページの「事業計画書記入例」をダウンロードして使用しましょう。
事業計画書が完成したら、信用金庫・信用組合へ融資相談に行きます。事業計画書の内容が条件に適合していると判断されると、信用金庫・信用組合から地域創業アドバイザーを紹介されます。
地域創業アドバイザーとの面談
紹介された地域創業アドバイザーと連絡を取り、面談を行ってください。面談では主に事業計画書の内容に関するアドバイスが行われ、アドバイザーからのOKが出ると、融資申込みができます。
なお、アドバイザーとの面談時には、作成した事業計画書のほか、印鑑や本人確認書類などが必要です。
取扱金融機関への融資申込・審査
アドバイザーの指示に従い、面談終了日から10日以内に融資申込書を請求し、その後融資申込みを行います。地域創業アドバイザーの意見を参考にして作成した事業計画書をもとに、融資の審査が行われます。
融資後のサポート
審査を通過するといよいよ融資が受けられます。また、融資後は地域創業アドバイザーが創業者を訪問し、定期的に経営サポートや帳簿や記帳に関するアドバイスを受けることができます。
おわりに
創業者を支援する制度は、各区役所でも行われています。たとえば豊島区では「としまビジネスサポートセンター」というものがあり、「女性・若者・シニア創業サポート事業」と同様に、融資のサポートや経営相談などの創業者支援を行っています。
このように、東京都の中でも各区や地域によって創業者を支援する制度は様々ありますので、どこで開業するかの参考のひとつにしてもよいかもしれません。
今後創業予定がある方は、自分の事業が条件を満たすか確認してみて、ぜひ利用を検討してみはいかがでしょうか。
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